地方の観光地には必ずといっていいほど、大型ホテルがあり、そこに観光客をすべてもっていかれてるケースがある。
大型ホテルというのは、全国的に展開しているチェーンホテルを今回は指しており、例えば「アパホテル」「星野リゾート」「大江戸温泉物語」などである。
資本やハコの大きさなどから見ても地方の小さな商店や民宿などは対等の立場で争うことはできず、実質的に観光客をほとんど取られている。

ただ、大型ホテルがあえて地域にお金を落とす取り組みをしているケースもある。例えば、OMOという星野リゾートブランドでは、「OMOレンジャー」というホテルスタッフが地域の魅力を宿泊客に伝えるガイドツアーを行なっている。「星野リゾート」というブランドが地域の商品をPRしてくれるため、普段は宣伝できない層のゲストにも商品を届けることができている。
一方、地域側がするべきことは何か。
①コミュニティの強化
まず地域コミュニティの強化が重要だと考える。大型ホテルに観光客を取られているとしても、地域内でしっかりとしたコミュニティがあれば、各商店ではなく地域全体で課題解決に取り組むことができる。例えばオリジナル商品の開発やホテルにないハコの作成など、あえて地域に観光客がお金を落とす(足を運ぶ)きっかけを作ることができる。一方、各商店ごとにホテルと戦おうとしてもなかなか厳しいものがある。
②ホテルとの連携
よく完全にホテルと地域で関係性が分断している状況をよく見かけるが、捉え方によっては「ホテルのおかげで観光客がたくさん来るようになった」ともとれる。また、さきほど例として紹介したOMOレンジャーのケースだと、地域の商店だと狙えなかった層が地域に来てお金を落としている。つまり何が言いたいかというと、地域側も「受け身ではなく攻めの姿勢」が必要なのである。
③ホテルとの完全分離(地域で新たな魅力作り)
②とは真逆だが、完全に関係性を持たずに、地元だけで盛り上げていくというケースもある。例えば、栃木県那須町には「GOODNEWS」というハコがある。これは地元の宿や商店などが協力して建てたものであり、中には地元那須町の選りすぐりの商品が並ぶ。ここに関わっているのは全て地元の方であり、今や那須町の新たなキラースポットとなっている。
このように、大型チェーンホテル(地域目線でいうと外資ホテル)との関わり方は様々ある。それはその地域の特性によって変わってくる。大型ホテルが来たからといって諦めるのではなく、うまく活用してほしい。